古代文明に共通して見られる世界のシンボル「蛇」

蛇のシンボル

私の家系は伝説に残る「蛇神一族」にあたります。
先祖を遡っていくと、日本最古の神社と伝わる大神神社の日本原初の神「大物主神」になります。
大神神社にいくと、よくみかけるのが「」の数字。
そのせいか、私も蛇に関わる「三」や蛇と深く関わりのあるシンボルがつきまとう不思議な宿命をもっているのですが、同じ様に、世界のシンボルにも不思議な共通点を見出すことができます。
(そんなこんなでスピリチュアル系なことにはまっていったわけですが・・)「

日本では縄文時代に蛇が信仰対象とされていたことが知られており、現在でも気づかない所に、その影響が形を変えて存在しています。蛇信仰も日本だけのものではなく、女神像とともに先史時代どの国でもみられるようです。

蛇のシンボルとして表現されるもの
・紐、縄、3、△(山)▽(渦)、大地、土、川、水、螺旋、円、渦巻き

トルコ・・・ギョベクリ・テペ(紀元前1万年~紀元前8000年)

Cambridge Archaeological Journal

トルコ南東部に存在するギョベクリ・テペ遺跡は、紀元前1万年前につくられた世界最古の神殿です。
この時期、この地域では狩猟生活をおくっており、農耕生活以前でこのような神殿が建てられたのはまさに異例であり、考古学者の頭を悩ませている遺跡のひとつです。遺跡は中央部がくぼんでおり、その中にT字型の石柱が円形の壁に沿って配置されています。

参考

近年の発見では、3つのくぼみの中央部に据えられた石柱の位置が、上図のB、C、Dのように結ぶと、正三角形を描いていることがわかりました。このことから、すでにこの時代から「幾何学模様」の知識をすでに人類は知っていたことになります。ちなみに△、3は蛇のシンボル。

T字石柱

T字石柱にはライオン、ウシ、イノシシ、キツネ、ガゼル、ロバといった哺乳類、ヘビやその他の爬虫類、昆虫や蜘蛛といった節足動物、そして鳥(とくにハゲワシ、鳥葬文化があった)が描かれています。

参考:12000年前の最古の神殿「ギョベクリ・テペ」には高度な幾何学的知識が用いられていた

シュメール、メソポタミア地域・・・紀元前5500-紀元前4000年

世界で最初に登場する神の名前がシュメール神話にも登場する「エンキ」神だと思います。
このエンキ神は「蛇」のシンボルとして登場します。
エンキは、シュメール文明より前のウバイド人が興したウバイド期に作られた世界最古の都市「エリドゥ」の守護神として崇拝されていました。(後にアッカド神話では「エア」に相当)
シュメール王名表で、エリドゥは人類最初の王権が成立した都市として以下の言葉が残されています。
          「天から王権が下されたとき、王権はエリドゥにあった。
エリドゥにあったエンキを祀る寺院は、ユーフラテス川の湿地にあり、アプスーと呼ばれる淡水の水辺に位置し、その寺院は「エアブズ」(水の家)と呼ばれ、地下には水の領域が存在していました。

エンキのシンボル

高潔で衝動的でエネルギッシュな知識の主であり、真理の探究者であり、魔術・魅惑の熟達者。
「メ」の象徴、二重螺旋の蛇、鯉の皮を着て角のある王冠を被る。
「悪」のシンボルで人類を奴隷化して支配するより知恵を与えて繁栄させるイメージです。

世界の神と対応するもの
悪魔、伏犠、プロメテウス、大物主神、八岐大蛇、ブラフマー、閻魔大王、第六天魔王(織田信長)、イザナギ,ルシファ=キリスト、タゴン=ポセイドン、龍=ドラゴン

・シンボル
両肩はチグリス・ユーフラテス川
山羊頭魚身

工芸、水、知性、創造を司る。
知識、魔法、淡水
生命と回復
繁殖,豊穣
死後の世界

エンキ神は、古代シュメール、アッカド、アッシリア、バビロニアで語り継がれることになる神々(アヌンナキ)の1神として登場します。アヌンナキとは、原初の女神ナンムから生まれた天空の神アヌと大地の女神キの子孫であり、人間の運命を司った神々です。
なかでも、エンキ、エンリル、イナンナがよく知られています。
すべての始まりの女神ナンム(ティアマト)もエンキ同様、蛇の神として登場します。

                 左:エンキ 右:エンリル
     レリーフにおいてエンキは蛇(頭がヤギ?)の姿、エンリルは人間に近い姿で登場。

人類創造に関与

エンキ、エンリルの妹ニンフルサグは、地母神(土地の繁殖・豊穣を司る女神。)であるとともに、遺伝子工学の知識をもっていたともされ、エンキとともに人類を創生に関与したとされています。
ニンフルサグの寺院はエサギラ(E’Saggila、Eは「家」、Sagは「神聖な」、Ilaは「女神」)と呼ばれ、エリドゥのクフール(Khur、神聖な山)にあったとされています。
このあたりは、日本神話のイザナギ、イザナミの国生み、中国神話の伏犠、女媧の話と類似点があります。

左:エンキ 右:ニンフルサグ
人類創生について語り合う場面
エンキの背後には蛇が、女神ニンフルサグは牛の角がシンボルとして描かれている。

ニンフルサグが遺伝子操作

人類救済知恵を与える存在

アトラハシス叙事詩では、大洪水を起こして人類を滅亡させようとした神エンリルに対し、人類を救おうとした神がエンキでした。結果、話し合いで決着できず、エンキはアトラハシスという人間に、エンリルが大洪水を起こすことを告げ大きな船をつくるように指示し助けます。このストーリーが、後の旧約聖書「ノアの方舟」のモデルになったものと考えられています。

人類を助けたエンキは「悪」のシンボルになります。
え?
いえ、これでいいんです。

善人(暴力人間健常者)なおもて往生す。ましてや悪人(まとも人間)をや

古代中国 紀元前4700-紀元前2900年

古代中国において、北部は、龍を信仰し、畑作、馬、豚など牧畜中心とした乾燥地帯に滞在した狩猟民族が、南部の長江、江南地域では太陽信仰・鳳凰に代表される鳥信仰と蛇信仰で、稲作、漁労を中心とする森の中で生まれた苗・採取民族に分かれていました。しかし、四千年前、明らかに侵略という形で北方の龍文化が南下すると、苗族等の土着民族は山岳地帯へと追いやられてしまいます。

紀元前4700年-2900年頃、北の紅山文化では、代表する牛河梁遺跡から琥珀でつくられた猪龍龍(ズーロン)が出土し、すでにこの頃には龍が信仰されていたことが確認されています。

世界の多くの民族の太陽崇拝と同様に、稲作河姆渡人は太陽崇拝・豊作祈念という原始信仰を陶器や工芸品に刻んでいます。 河姆渡で出土した陶器や工芸品上の紋様で一番多いのが鳥の図案で、これは河姆渡人の鳥崇拝を表しているそうで、鳥崇拝と稲作は関係があるといいます。 河姆渡人の鳥崇拝は呉越地方に広がり、東夷を「鳥夷」、越人を「鳥種」と呼ぶようになります。越人は、蛇もトーテム崇拝し、鴻山遺跡から多くの 蛇が装飾された玉器、石器、倣銅祭礼器、楽器など出土しています。

盤蛇神獣紋玉管

玉飛鳳

四蛇四鳳紋玉带鉤

参考:鴻山 蛇をトーテムとする陶器王国

「南」の字は、南方のミャオ(苗)族が祭器として使った銅鼓の形から来ているとされ、その銅鼓に描かれた戦士は、舟の舳先や自身の頭に鳥の長い羽を飾っています。この苗族など南方の少数民族の間では伏羲と女媧は実の兄妹であると同時に夫婦とされ、漢代の石刻画などには、人首蛇身の伏羲と女媧が絡み合って描かれています。

伏犠と女媧

日本

縄文中期 紀元前3500-紀元前2400年

日本では縄文式土器が有名ですが、縄文中期頃から渦巻模様の土偶もみられるようになります。類似した模様は古代ギリシャのヴィンチャ文化(紀元前5700-4500年)でもみられます。

1986年(昭和61年)、長野県茅野市にある「棚畑遺跡』から、高さ27㎝の縄文時代中期にあたる「縄文のビーナス」の頭は頂部が平らに作られ、円形の渦巻き文が見られる。

日本初の「子抱き土偶」 

八王子市川口町の宮田遺跡から発掘した「子抱き土偶」は。母親に沈線で様々な文様が描かれており、特に膝の部分の渦巻きが印象的。

古代ギリシャのディミニ遺跡で発見された
子抱き像とよく似ている。

参考

歴史系総合誌「歴博」第179号
南高生が発掘した「子抱き土偶」

大神神社(みわじんじゃ)・・奈良桜井市 日本最古の神社

  蛇神を祀る神社には円錐形△の山がある。

大神主神
その正体は白蛇

注連縄

神社の注連縄も2匹の蛇が交尾している様子

古代エジプト・・・紀元前3500年頃

エジプト文明は最初、下エジプト、上エジプトに分かれていました。
ナイル川の下流域でΔ地帯が広がる下エジプト(北側)の主神は、コブラの姿をしたウアジェト、王冠は赤色、植物はパピルスが象徴。一方、上エジプト(南側)はヒエラコンポリスの守護神であった鷲の姿をしたネクベト、王冠は白色、植物は睡蓮(ロータス)が象徴とされていました。
紀元前3500年ごろに、上エジプトと下エジプトの二つの王朝にまとまり、紀元前3150年ごろに上エジプトのナルメル王が下エジプトを押さえてエジプト最古の統一王朝であるエジプト第1王朝がはじまります。結果ネクベトがエジプト全土の守護神となりました。

ネクベト

ウァジェト

古代インド 

インダス文明 紀元前2350年ー2000年頃

インダス文明の遺跡から出土したプロト・シヴァの印章の中に、コブラが描かれているものがあります。

プロト・シヴァ(proto-Shiva)の印章

中央シヴァ、両隣にコブラ

シヴァ

シヴァの特徴としては、額の第三の目、首に巻かれた蛇、三日月の装飾具、絡まる髪の毛から流れるガンジス川、武器であるトリシューラ(三叉の槍)、ダマル(太鼓)。三がシンボル、ブラフマー、
ヴィシュヌとともに3柱の重要な神の中の1人。

ナーガラージャ(ナーガとナーギ) は、インドにおける蛇神の諸王。
仏教では八大竜王をはじめ様々な竜神として取り入れられました。

ペルシャ

ズルワーン教は、ゾロアスター教の分派で最高神ズルワーン神を崇拝する宗教。獅子の顔を持ち蛇が巻き付いた姿。イラン最大の民族叙事詩のシャー・ナーメ(王書)には、両肩に2匹の蛇を生やしたザッハーク王が登場する

古代ギリシャ

ヴィンチャ文化:紀元前5700–4500年

多数の日本の縄文土偶と類似した土偶が発見されているヴィンチャ文化では、集落趾のすべてから<鳥女神>像が発見されています。

7千―6千年期のエーゲ海地方やバルカン各地では、男根を思わせる<鳥女神>像すなわち、鳥の神と蛇の神との結合から導き出されたものが盛んにつくられた。

3個の腕輪、3か6個の首飾り( どの地域でも共通して、喉に1個ないし3個また6個の穴や刻みめがつけられている「3」という数とその倍数は女神にかかわる何らかの象徴的意味を持っていたらしい)ミノアだけでなくギリシア美術においても鳥やアテナ像には通常3本の柱のような線が伴う。

テッサリア地方のディミニ遺跡から、蛇のシンボルを表す渦巻文が多く土器、女神像が出土されています。

ミノア文明:紀元前2000年~1400年頃 

時代を下り、ミノア文明では両手に蛇をもった蛇女神が登場します。

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