はじめに
世界に共通して人類の初期から存在し、大地の基盤ともなっているシンボルが「蛇」と「女神像」。
蛇は柔軟に変化しあらゆる形状に変化します。
トグロを巻くと
△山・火 男性シンボル ▽渦・水 竜巻 風 女性シンボル
線にも、波にも、〇(始まりは終わり)、∞(永遠)にもなります。
蛇は大地に生息するもので日本では国津系(三輪・大神氏)のシンボル。
龍は蛇が神格化したものと考えられています。
世界各地の原始信仰では、ヘビは大地母神の象徴として多く結びつけられてきました。
蛇のその姿から忌み嫌われる一方で、山野に棲み、ネズミなどの害獣を獲物し、また脱皮を行うヘビは、豊穣と多産と永遠の生命力∞の象徴でもありました。また古代から中世にかけては、尾をくわえたヘビ(ウロボロス)を西洋など各地の出土品に見ることができ、「終わりがない」「始まりと終わり」の概念を象徴的に表す図象としても用いられていました。
日本では古来より、ネズミを捕食するところから穀物神、それが転じて田の神、ヘビと龍との習合から水神、さらに財宝をつかさどる弁財天の表象・化身ないし神使として神聖視されてきました。国津系(海人族)のトーテムの一つが蛇で、それに関連し土壌、農耕、葦、稲、食物、生命に絡んだ信仰神(大国主神、ウカノミタマなど)がみられます。
また、蛇の呼び名もいろいろあります。
そんな蛇の様々な呼び名について神話とからめてまとめていきました。
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蛇の呼び名
虫
ツチ・ヅチ・ツミ
ハハ・ハバ
カ・カカ・カガ
ウカ・ウガ
ツツ
ミ(巳・三)
ナガ
オロチ・ヲロチ
ダ?
虫
図参照:産経国際書会
昔は虫を蛇と呼んでいました。
現在では、「虫」は昆虫の総称ですが、昔は「虫」は蛇で、マムシのことを言いました。上の甲骨文字を見てください。三角形の大きな頭を書いて、クネクネと動く様子が見えます。「虫」のほかに「它」「也」「地」の字は、蛇の意味を持っています。「地」は大地からうねって遠くまで続いている姿のことです。
風という字は、元は大きな鳥を形をした神様が引き起こしていたと考えられ、「鳳(おおとり)」という字だったようです。それがいつしか「風」になったという。
風の中の虫は蛇をあらわし、角「ノ」がついて龍をあらわしているのかもしれません。
「風」=龍(リュー)=蛇の進化系
旧約聖書のヘブライ語(ルーアハ)は、神の霊、息、風を意味します。
ルーアハはギリシャ哲学では「プネウハ(呼吸、生命、命の呼吸、力、エネルギー、聖なる呼吸、聖なる権力、精神)」となり、ラテン語でスピリトゥス、そこから英語でのスピリットとなったと考えられています。つまり、風は目に見えない実態のないものなので、精神面と同等的な扱いをされているのかもしれません。
今は風の時代と言われて物質から精神の時代へと移行していますが、風が精神と結びつくのもここからきているように思います。
ヅチ・ツチ・ツミ
ヅチ、ツチ、ツミも蛇に関わる言葉とされています。
ツチのツは助詞で意味がなく、チは父・龍・雷・蛇、霊力などの意味。
オオヤマツミ・ワタツミ
山の神オオヤマツミ、海の神ワタツミ。
ツ=の ミ=蛇(巳)という。
海神(わたつみ)は「海つ美」という美称ではなく、「海つ巳」=海蛇だという説もあります。
アシナヅチ・テナガヅチ
素戔嗚の八岐大蛇退治の時に登場するオオヤマツミの子であり、クシナダヒメの父である出雲の神も蛇神。素戔嗚とクシナダヒメの子が大国主神/大物主神/大己貴神(蛇神)と国津系であり農耕・土壌に関わる系列となります。
カグツチ(火之迦具土)
かぐ=輝く つ=の ち=神霊、すなわち「輝く火の神」
蛇に関わるとされる十握剣(「天之尾羽張(アメノオハバリ)」でイザナギにクビを落とされた火の神。
カグツチが忌んだ後、マサカヤマツミ、オドヤマツミ、オクヤマツミ、クラヤマツミ、シギヤマツミ、ハネヤマツミ、ハラヤマツミ、トヤマツミなど山に関わる神が生まれているので、蛇神なのだろう。
タケミカヅチ(建御雷)
中臣・藤原家の氏神。
イザナギがカグツチの首を切り落としたとき、十握剣についた血が飛び散って生まれた神。
建は猛だけしいの意味で、御雷は借字で甕速日神の甕と同じく厳しい(いかめしい)の意。
江戸時代前期の学僧袋中上人の『琉球神道記』には「鹿島の明神は。もとはタケミカヅチの神なり。人面蛇身なり。 常州鹿島の海底に居す。・・」とあります。これによるとタケミカヅチには磯良(いそら)という別名があり、海底に住む人面蛇身(じんめんじゃしん)であると伝えています。
磯良は海神族の有力豪族安曇・阿曇氏の祖。アヅミも蛇と関連があるのかもしれません。
イカヅチ(雷)
雷神は竜蛇神として姿を現すことが多く、雨や水を掌る神としての性格をもっています。
イザナミの死体から生まれた八雷神(オオイカヅチ、クロイカヅチ、サクイカヅチ、フシイカヅチ、ワカイカヅチ、ツチイカヅチ、ホノイカヅチ)も蛇神。
ミヅチ
ミズチ(蛟)・・水と関係があるとみなされる竜類か伝説上の蛇類または水神。
ハハ・ハバ
縄文神アラハバキ、イザナギがカグツチを切り殺したときの剣天羽々斬(アメノハバキリ)は蛇に関係するといわれています。
アラハバキ(「荒覇吐」「荒吐」「荒脛巾」「阿良波々岐」)
記紀には登場しない東北地方で主に信仰されてきた謎の神。
ハハキ(波波木神)
伊勢神宮には「波波木(ははき)神」が祀られています。
その祀られる場所は内宮の東南「辰巳」の方角。(辰=龍、巳=蛇)
その祭祀は6、9、12月の18日(土用にあたる)の「巳の刻」に行われるという。
アメノハバキリノツルギ(天羽々斬剣)
スサノオが八岐大蛇を退治した時に用いた剣。
別名は「天十握剣(あめのとつかのつるぎ)」、 「蛇之麁正(おろちのあらまさ)」、 「蛇之韓鋤(をろちのからさひ/おろちのからさび)」、 「天蠅斫剣(あめのははきりのつるぎ/あめのはえきりのつるぎ)」と蛇に関わる名前が多い。
物部氏の氏神を祀っている奈良県の石上神宮に「布都斯魂剣(ふつしみたまのつるぎ)」として祀られています。
カ・カカ・カガ
蛇の古語は「カ」「カカ」「カガ」と蛇信仰に詳しい吉野裕子先生は述べられています。
ヤマカガシ、カガミモチ、カカシ(案山子)。
「鏡」や「輝く」の語源
神はカ(蛇)+ミ(身)。
神は柱であるので、その正体は蛇神だと考えられます。
記紀において酸漿(ほおずき)は「カガチ、アカカガチ」。
八岐大蛇の目を「アカカガチの如く」と、酸漿に例えています。
また、猿田彦は
「目が八咫鏡のように、またアカカガチのように照り輝いている」
と表現しています。
大国主神が国造りのときスクナビコナが乗ってきた船が天乃羅摩船(アメノカガミノフネ=ガガイモの実)。これはヤマカガミという蔓科の植物です。
細長い藁、葦、紐は蛇に例えられるように蔓も蛇の例えなのでしょう。
スクナビコナは一寸法師のモデルになったととも言われるように極めて小さい男。
それに対して、大国主神は大きな男の対比で、陰陽が組み合わさり物事が生まれる例えのように思います。
大国主神は大己貴神(オオナムチ)で農耕の神。
つまり「土・土壌」。
なぜ、スクナビコナはガガイモに乗ってきたのか?
吉野氏の推測でスクナビコナは、種神・生命の源・精虫の象徴であって、その神格化ではなかったろうかと述べているように種・精子なのでしょう。
土(大己貴神・蛇)+種(スクナビコナ・蛇)=蛇の交尾(陰陽の交わり・注連縄)=土に種を植える=生命誕生=精力・・
の構図にもみてとれます。
だから、赤マムシは精力増強剤なのだろう・・。フンム🌋
このあたりの話はシュメール神話のエンキとニンフルサグのえげつない話に似ている。
真の神様は下ネタが好きなんです。
下ネタを汚すものは神様を冒涜するものなり。
女神ニンフルサグとエンキの後裔たち
エンキは、理想的な神ではなかった。水の神にしてはビール好きであり、繁殖・豊穣の神にもかかわらず、近親相姦を行った。伝説によれば、エンキは配偶者ニンフルサグとの間に女神ニンサル(Ninsar:植物を司る)という娘があったが、ニンフルサグの不在の間、ニンサルと関係を持ち、女神ニンクルラ(Ninkurra:農耕・牧畜を司る)という娘をもうけた。
さらに、彼はそのニンクルラとも関係を持ち、女神ウットゥ(Uttu:機織り、もしくは蜘蛛を司る)をもうけた。
そしてさらにエンキは女神ウットゥと関係を持った。しかし、エンキは、ニンサル・ニンクルラに対してしたのと同様に、しばらくするとウットゥのもとを去ってしまい、困惑した女神ウットゥは、戻ってきた女神ニンフルサグにそのことを相談した。ニンフルサグは、エンキの見境のない欲求に憤り、ウットゥに対して、水神エンキの勢力のおよばないよう、川の水辺から逃れるよう言った。そして、ニンフルサグは、ウットゥの子宮からエンキの精を取り出し、土に埋めた。すると、そこから8種類の植物が芽を出し、みるみると成長した。エンキは、僕である双面のイシムード(英語版)とともに、それらの植物を探し出すと、その実を食べてしまった。自らの精を取り込んでしまった彼は、あご・歯・口・のど・四肢・肋骨に腫れ物ができた。エンキは途方にくれていたところ、ニンフルサグの聖なる狐がウットゥを連れ戻してきた。
ニンフルサグの心は和らぎ、エンキの体からアブ(Ab:水、または精)を取り出し、ウットゥの体に戻した。ウットゥからは8つの神が生まれ、エンキの体の各部にあった腫れ物は癒された。このように、上記の神話物語は総じて、土(女神ニンフルサグ)に「水(エンキ神)」が加わることによって生命が産み出されるということ、また、生命が生み出され育った後も、例えば植物が果実を形成する時など、再び「水」が必要とされるということを、象徴的に示している。
参考:エンキ
カカシ(案山子)
記紀の国造りの話に登場するクエビコ(久延毘古)が案山子。
大国主神の元に海の向こうから小さな神がやって来たが、名を尋ねても答えず、誰もこの神の名を知らりませんでした。するとヒキガエルの多邇具久が
「久延毘古なら、きっと知っているだろう」
と言うので、久延毘古を呼び尋ねると
「その神は神産巣日神の子の少名毘古那神である」
と答えます。
一日中じっと世の中をみて「なんでも知っている」ということからクエビコは田・農耕の神だけでなく知恵の神ともなっています。案山子が一本足、三角錐のみの笠も蛇の象徴なのかもしれません。
先住の神々のうち、最後まで抵抗したとされるのが星の神・天津甕星(あまつみかほし)。
別名は星神香香背男(ほしのかがせお)で、ヘビの別名「かが」があります。
この香香背男も案山子。
カカシはカガシが古形であり、獣の肉や毛髪を焼いて田畑に掛け、鳥や獣に匂いをカガシて脅しとしたのが始まりであって、語源は直接蛇とは関係ないようです。
カガミモチ(鏡餅)・鏡
鏡の語源はカガ(影)+ミ(身)、鏡は「蛇の目」になるようです。
鏡餅も、トグロを巻いた蛇の形としてよく知られています。
上からみると輝く蛇の目(ジャノメ)紋になります。
みかんは太陽ではなかろうか。
みかん=太陽・鳥・空=天津系(天照)=知恵の樹=陽
餅=月・蛇・大地(米)=国津系(大国主系)=生命の樹=陰
ツツ
古代には「つつ」これは筒状の姿態を言い表している。「つち」とも言う。筒とは棒状で、中が空洞な物体を指します。
イザナギが禊を行ったとき、誕生した住吉大神は底筒之男神・中筒之男神・上筒之男神の3柱が筒の文字があるのも、蛇神であることを示しています。
また、九州の熊本では海に潜ることを「モグル」ではなく「スム」というそうです。
蛇の氏族である宗像氏や安曇の神には、「筒」がつき、水中に没して水を「くぐる」蛇の異称ができました。住吉大神を「つつのお」と言うのは、蛇のように水中を潜行した海士(あま)の神になります。
ウカ・ウガ
紀州や出雲では海蛇を「ウカ」「ウガ」と呼びます。
「ウカ」は穀物・食物の意味で、ウガはウケが変化したもの。
ウカノミタマ(宇迦之御魂神)
お稲荷さんでも知られる五穀と養蚕を司る穀物神ウカノミタマ。
イザナギとイザナミが大八洲国を生み「飢(やは)しかり時に生めりし児を倉稲魂命(ウカノミタマノミコト)と号す」とあるように、食べ物がなく飢えている状態のときに生んだので食料(ウカ)の神となりました。
ウケモチノカミ(保食神)、伊勢神宮外宮の豊受大神の「ウケ」はここから転じたものとされ、
ウカノミタマ=ウケモチノカミ=豊受大神=(オオゲツヒメ 阿波の女神)とそれぞれ食物神で同一神とされています。
ウガジン(宇賀神)
仏教において、人間に福徳をもたらすと考えられている福の神たちの総称です。
食物神・農業神ともされる。弁財天と同一視され、ウカノミタマの異称とされています。
頭にかぶった宝冠の中に白い蛇がいるところから、その正体は白蛇とされています。
つまり、こう考えると食物(稲など)=稲荷=弁財天=蛇の関係がみえてきます。
狐と稲荷信仰が結びついたのは、白狐に乗る天女の姿で表されるインドの女神ダッキーニ(荼枳尼天(だきにてん))と混合されて広まったためです。
荼枳尼天はインドでは下級の女神で、「胎蔵曼荼羅」などを通じて、人を食う夜叉鬼としてみなされていました。
狐は古来より、巣穴を作り、時には屍体を食う「墓堀り」として知られており、この類似点から荼枳尼天と狐が結びついていったといわれています。
日本で荼枳尼天はエンマ天供の一部として扱われて真言密教の曼荼羅の中に描かれるようになり、やがて昇格して、女形や狐で表されるようになっていきました。
さらに、今度は宇賀弁財天との習合がはじまり、
弁財天(白蛇)―荼枳尼天(狐)
となります。
狐も蛇いずれも、穀物神・農耕神であったので習合が進み、そのうちに狐が蛇を追い抜いて、宇賀弁財天や豊受大神、オオゲツヒメ(三狐神ミケツカミ))にも狐がついてくるようになりました。伊勢外宮の豊受大神の神社や徳島のオオゲツヒメを祀る神社に狐がいるのもこのためでしょう。
弁財天が狐にのり、頭の上にとぐろを巻いた蛇がのっている絵が描かれるのもこうした背景があるからです。
(稲荷―INRI-キリストー白蛇?)
しかし、四国に稲荷神社がないのはなぜなんだろう・・。
狐は古来より、古墳や塚に巣穴を作り、時には屍体を食うことが知られていた。また人の死など未来を知り、これを告げると思われていた。あるいは狐媚譚などでは、人の精気を奪う動物として描かれることも多かった。荼枳尼天のこの狐との結びつきが、日本の神道の稲荷と習合するきっかけとなったとされている。なお、狐と荼枳尼の結びつきは既に中国において見られる。
荼枳尼天
ミ(巳・三)
「三」がつくと蛇・巳(み)と関わるものが多いです。
奈良大神神社(おおみわじんじゃ)のある三角錐状の形をした三輪山はとぐろを巻いた蛇の形とも言われています。
同じように滋賀県にある園城寺の別称三井寺(みいでら)にある「三井の晩鐘」も蛇に関連する話が残されています。三井寺の巳様も蛇神で、長等山(ながらやま)にあります。
ナガ(長)
ナーガ
ナーガはインドに起源おもつ蛇神。
元来コブラを神格化した蛇神であったものが、中国で竜と翻訳され、中国に元来からあった龍信仰と習合し、日本にもその形式で伝わったといいます。
オスはナーガ、メスはナーギィと呼ばれ「長い(ながい)」はナーガ由来とも。
オロチ・ヲロチ
非常に大きな蛇。うわばみ。だいじゃ。
大蛇は古語では「はば」{はぶ」「はめ」:咬み(はみ)つく恐ろしい物
小蛇「くちなわ」、やや大きいのが蛇、もっと大きいのが蚦蛇(うわばみ)、大変大きいのが大蛇(おろち)
『古語拾遺』にヲロチをハハという場合のヲロチは、ヲは尾っぽのヲで、ロは格助詞でノと同じ、チはいかづち(雷)、みずち(水霊)のように霊力を現わす言葉。つまり、「長い尾の神」といった意味になります。
ダ?
大仏には螺旋(とぐろ)がみられる
蛇足とも呼ばれるように、ダも蛇を意味する気がします。
蛇足,修陀
修蛇/修陀(しゅうだ Hsiushe)は、中国の神話に登場する怪物の一つ。
巴蛇(はだ Pashe)とも呼ばれる。天帝が尭(ぎょう)であった時代に、南方の洞庭湖に棲んでいたとされている巨大な大蛇。
修蛇=修陀つまり、阿弥陀の陀と蛇は同じ意味なのかもしれません。
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真理の島 四国(愛媛、香川、徳島、高知)
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