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陰陽説 ~この世は光と闇でできている~
陰陽説とは、この世の自然摂理、森羅万象は、陰(-女性)と陽(+男性)という2つの相反する要素によって生み出されているという、紀元前1000年頃中国で発祥した2元論的な思想です。
2元論といえば、17世紀の哲学者のルネ・デカルトが有名ですが、中国で発祥した陰陽説もインドのアーユルヴェーダの考えから発展していたと考えられています。
紀元前といえば、日本ではまだ縄文時代、弥生前期ですが、この時代使用されていた道具、祭器をみても石器(陽)ー土器(陰)、石棒(陽)ー土偶(陰)、銅矛(陽)-銅鐸(陰)などをみても陰陽の関係を発見することができます。実は不思議なことに、これは日本だけでなく世界文明を調べていくと、共通で成立しているもので、はるか太古の昔からすでに2元論は世界の至るところで知られていた基礎的法則であることが伺えます。
石器と土器(縄文時代)
石器凸
土器凹
石棒と土偶(縄文時代)
石棒凸
土偶(女神像)凹
銅剣と銅鐸(弥生時代)
銅剣凸
銅鐸凹
「陰極まれば陽に転じ 陽極まれば陰に転ず」
という言葉があるように、すべてのものは常に陰と陽を変動しながら物事は進んでいます・・。
例えば、生命リズムも、
一日: 昼(覚醒状態 陽)、夜(睡眠状態 陰)
季節: 春、夏(陽)、秋、冬(陰)
と陰陽を繰り返すことで生み出されています。
人の気分もまた、陰陽のバイオリズムで構成されており、気分が良い(躁状態)ときがあれば、そのあとに反動として不調(うつ状態)なときが現れるようになっています。
陰陽の法則を理解すると、精神面、健康維持、自然摂理の手助けになり、難しい理論を考えることなく新たな発見、解決策にもつながっていくのではないかと思います。
(例)
人の気分には波があって当然。現代精神医学では、冬になると気分が落ち込み「冬季うつ」と病名がつけられていますが、これは人体のバイオリズムであって病気ではない。最近は冬季鬱でさえ、「すぐ精神科に行きましょう」と宣伝されていますが、騙されることもなく薬漬けにされないですみますね。
陰陽の法則 ~自然摂理の法則~
陰陽説には、「陰陽互根」、「陰陽制約」、「陰陽消長」、「陰陽転化」、「陰陽可分」といった法則があります。
陰陽互根
陰陽互根とは、陰陽の相互依存を説明するもので、陰、あるいは陽だけの単独で存在することはないといった法則です。
陽が存在するのは陰があってからであって、陰が存在するのは陽があるからです。
例えば、「光」が存在するには「闇」という対比する存在があって存在し、逆に「闇」もまた、「光」が存在しなければ存在しないというもので、自分が存在するには他人がいなければ成り立たないということでもあります。
人間も、「男」「女」という陽陰タイプが存在してからこそ、人類が存在するわけで、片方だけの単独属性では人類の存在はないということになります。
此縁性(しえんしょう:仏教の縁起説)
此(これ)が有れば彼(かれ)が有り、此(これ)が無ければ彼(かれ)が無い。
光の二重性
光は粒子性と波動性と相反する2つの性質を同時にもっている。
陰陽制約(提携律)
陰虚すれば陽虚し、陽虚すれば陰虚する。陰実すれば陽実し、陽実すれば陰実する。
陰と陽の関係は、相互依存しあいながら成り立っていますが、反対にお互いが過剰、過小にならないように、もう一方を抑制もします。
この抑制する働きを、「陰陽制約」、あるいは「提携律」とも言います。
陰陽消長(拮抗律)
陰虚すれば陽実し、陽虚すれば陰実する。陰実すれば陽虚し、陽実すれば陰虚する。
拮抗律ともいい、陰と陽は、静止してその状態を留めているのではなく、絶え間なく相互依存(陰陽互根)、相互抑性(陰陽制約)を繰り返し、消長(物事が衰えて消えるか、伸びて盛んになるか)し存在しているというリズム変化の法則です。
陰陽のリズム、バランスは陰陽互根と陰陽制約によって維持され、一定ではなく変動しながら保たれています。
このリズム、バランスの取れている平衡状態を陰平陽秘(いんへいようひ)、反対に崩れた状態を陰陽失調といいます。
物理、数学的表現で表すと「波動、振動、周期関数(sinx cosxを組み合わせた関数)」になります。
物理学の公式などみても、光、エネルギー、熱、原子、音に関わる自然現象は、すべて「波動」的数式として表されることがわかります。
諸行無常(仏教):万物はいつも流転(るてん)し、変化・消滅がたえないこと。
陰陽転化(循環律 陰陽反転)
陰極まれば、無極を経て陽に転化し、陽極まれば、無極を経て陰に転化する。
陰あるいは陽が極度な状態になると、その反対作用に転化(反転)する現象です。
風邪やインフルエンザも最初は悪寒が起ったあと、発熱が起こるように、病理的には、寒極生熱・熱極生寒のように転化することを表します。
日中を過ぎれば、夜になっていき、深夜が過ぎれば、昼に進みます。
人体においても、昼はセロトニンによって覚醒作用が働き、夕暮れになるとセロトニンはメラトニンに変換されて次第に睡眠が促されるように、人体の生理的活動も自然の転化にあわせて働いています。
盛者必衰(平家物語):この世は無常であり、勢いの盛んな者もついには衰え滅びる。
陰陽可分(交錯律)
陰陽それぞれの中に様々な段階の陰陽がある。
陰中の陽、陰中の陰、陽中の陰、陽中の陽。
どのような事象も陰陽の2つの属性に分類することができ、さらにその属性もまた二つの陰陽の側面に分けることができるといった考え方です。
言い換えると、陰の中にもさらに陰陽があり、陽の中にも陰陽にわけるということです。
身体にも存在する陰陽の法則
陰陽の関係は、森羅万象すべてのものにおいて存在します。
身近な例でいうと、私達の体の中にも陰陽の関係で構成されているものばかりなのです。
例えば、人の意識は、陰陽互根が示すように、「表層意識(陰)」と「潜在意識(陽)」といった陰陽の関係でできています。さらに意識は物質である脳でつくられますが、脳の大脳新皮質(脳の表面)、大脳辺縁系(脳の内部)領域は、それぞれ「表層意識」「潜在意識」を生み出し、ブレーキ(抑制)とアクセル(行動)といった相反する性質ををもって自己をコントロールしています。
また、身体のコントロールも同じように、覚醒作用の交感神経、鎮静作用の副交感神経といった大きな2つの自律神経が無意識的に作用しあうことで生命維持活動が行われています。
このように、人の生命維持活動は、様々な陰陽関係が組み合わさってできており、これは、人間だけでなく、自然、学問、歴史、思考、言葉など、すべての中に存在しているのです。
万物のものはすべて因果関係で成り立っており、この法則性を有効利用することで、表層意識、潜在意識が好む身体の状態、環境、刺激といった要因も簡潔に整理できます。
要因(因) | 結果(果) | ||
陽 | 陰 | ||
状態 | 覚醒状態 | 覚醒 | 睡眠 |
自律神経 | 交感神経優位 | 副交感神経優位 | |
神経伝達物質 | セロトニン | メラトニン | |
テンション | 緊張 | リラックス | |
苦楽 | 辛い | 楽 | |
目の状態 | 目を開く | 目を閉じる | |
姿勢 | 立つ | 寝る | |
動き | 動く | 静止 | |
力加減 | 力を入れる | 力を抜く | |
呼吸 | 吸う | 吐く | |
思考 | 考える | 考えない | |
手の状態 | 手は閉じる | 手は開く | |
テンポ | 速さ | はやい | ゆっくり |
動き | 複雑 | 繰り返し、単調 | |
環境 | 温度 | 刺激のある温度 | 刺激の弱い温度 |
明るさ | 明るい | 暗い | |
布団 | 硬い | ふわふわ | |
刺激 | 光 | 青 | 赤 |
音 | 騒がしい ロック | 静か クラシック 自然 | |
歌声 | 男性的 | 女性的 | |
香り | 刺激のあるもの | 刺激が弱い | |
マッサージ | 叩く | 撫でる | |
形 | 尖ったもの | 丸い | |
飲み物 | カフェイン系 | GABA系 |
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