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大洪水神話とは
世界神話には創生神話のような共通点がみられますが、いくつかの神話には「大洪水神話」も登場することもあります。
中でも有名なのが旧約聖書に登場する「ノアの方舟」でしょう。
古代メソポタミアのギルガメシュ叙事詩の洪水神話の書かれた粘土板が発見され「ノアの方舟」伝説の原型と判明したとき、キリスト教世界に衝撃を与えたといわれています。
大洪水神話は世界の神話に登場しても、地球規模で同時に起こったものではなく、神話のつくられた地域で起こった河川の洪水を元に作られたものと考えられています。
例えば、シュメール神話の洪水は紀元前2900年頃チグリス・ユーフラテス川で起こったもの、中国神話の大洪水は紀元前1920年頃起こったものがモデルになっているようです。
シュメール神話のモデルが、後世にできたギルガメッシュ叙事詩、アトラハシス叙事詩のような神話、旧約聖書のノアの方舟伝説に引き継がれていったものとも考えられています、
洪水神話の内容
洪水神話にも創造神話と同じ様にストーリ性にパターンが決まっています。
ほとんどのパターンが「ノアの方舟」のように。創造神が堕落し信仰心を失っていく人間に怒り、それを罰するために大洪水を引き起こし、限られた正しい人間だけが生き残るというものです。
東南アジア周辺では、兄妹が生き残り近親婚により祖先が始まるといったパターンがみられます。
また、中国神話は、洪水を治水している内容であり、他の国のパターンと違った特徴があります。
洪水神話パターン
| タイプ | 内容 | 国 |
| ①ノアの方舟型 | 洪水後選ばれた者が人類の祖先となる。 | ほとんどの国 |
| ⓶近親婚型 | 洪水後、兄妹が結婚し人類の祖先となる。 | 東南アジア、中国南部に多い |
| ③洪水治水型 | 洪水を治水し王となる | 中国 |
また、水は生命の源と言われるように、地球に水の存在があって人類含めた生命が創造されていったわけですが、すべての事象には裏表があるように、水の裏の破壊的な面もあることを伝えようとしているのかもしれません。
水は生命の源
時には荒れ狂い破壊をもたらす
洪水神話の例①・・ノアの方舟型
イスラエル 旧約聖書（創世記）・ノアの方舟
大洪水神話でも、最も知られた有名な洪水神話といえば「ノアの方舟」でしょう。
エデンの地を離れ代を重ねていった人間達は、やがて堕落しお互い争うようになった。
神ヤハウェは、人間をつくったことを後悔し、すべてを払拭するために大洪水を起こすことにした。ただ、一人の信仰心の篤い男性ノアだけは助けようと、大きな設計の方舟を造るよう指示した。方舟ができた後、 彼の妻、彼の三人の息子のセム、ハム、ヤペテ と彼らの妻、清い動物と鳥を雌雄7つがい（7匹か7組かの記述が異なる場合がある）、そうでない動物を2つがい、必要な食べ物すべてと苗木を載せた。洪水ののち、ノアは清い動物を供物にささげ、ヤハウェは、人間は幼いときから邪悪な性癖を持って生まれるのだからと、洪水で地上のすべてを破壊することは二度としないと約束し、自然の摂理を支えることを自身に約束した。
シュメール・・・シュメール神話（最古の洪水神話）
現イラク南部の地シュメールで起きた最古の洪水神話で、「ノアの方舟」伝説のモデルの原点とも考えられます。
エンキ神がシュルパックの王ジウスドラにぢ洪水による人類抹殺計を予告した。（抹殺理由は不明）エンキ神は、王に大きな船を指示し、７日の洪水の後、王は助かり供物と祈りを天空神アンと最高神エンリルに捧げディルムンで神から永遠の生命を授けられた。イラクにおける発掘で、シュルパックの洪水が紀元前2900～2750年頃あったことが証明されており、洪水後シュメール王朝が成立したと言われている。
バビロニア・・アトラハシス叙事詩
アトラハシス叙事詩はギルガメシュ叙事詩より後にできたもの。「ノアの方舟」のノアに相当する人物。
人類が誕生し1200年の繁栄の後、人口増加によってエンリル神はその騒音のために自身の睡眠を妨げられることになった。そこで、エンリル神は人口を減らすために 疫病、飢饉 など起こし人口を減らすも、元に人口が戻ったため洪水を起すことを決めた。人類に道義的な神エンキは、 洪水計画のことをシュルッパクのアトラハシスに伝えると、彼は神託に基づき生き残るための船を建造した。 彼と彼の家族、動物と船に乗り扉を閉め避難。嵐と洪水が起こってから7日後、アトラ・ハシースは神々に生け贄を捧げる。エンリルは、エンキが計画を漏らしたことを咎めるも、エンキとエンリルは後に和解する。
古代ギリシャ・・・デウカリオーンの洪水
巨人族プロメテウスの息子デウカリオーンがノア役となる神話
ギリシャ神話最高神ゼウスは、貪欲で愚かな人間達を大洪水で滅亡させようと企てた。デウカリオーンはゼウスに慈悲を願いいれたものの聞き入れられることはなかった。父プロメテウスの指示によって、デウカリオーンは方舟を造って、妻と逃げ込んだ人、食料などを詰め込んだ。 他の人間は、高い山に逃げた少数を除いてすべて滅ぼされる。テッサリアの山は砕け、コリントス地峡とペロポネソスより向こうの世界はすべて沈んだ。
スカンジナビア半島・・・北欧神話
スカンジナビア半島のゲルマン民族神話。キリスト教の洪水神話の影響を受けていると考えられています。
オーディンとその兄弟ヴィリとヴェーによって巨人ユミルが殺されたとき、ユミルの傷から流れた血によって大洪水が起こった。ユミルの孫ベルゲルミルと彼の妻は、箱舟に乗って洪水の難を逃れ、その後、霜の巨人の新たな血統の祖先となった。
アメリカ・・・ホピ族神話
アメリカ合衆国の南西部に住む先住民ホピ族の神話
創造主のソツクナングは、 世界を破壊するのに最初は火を、次には氷を使った。世界を作り直している間、掟に従っている人々は地下に隠して救っていた。しかし、やがて人は堕落し好戦的になった。 そのため、ソツクナングは人々を蜘蛛女のところに導き、彼女が巨大な葦を切り落としててできた茎の空洞に人々を避難させた。 ソツクナングはそれから大洪水を起こすと、人々は葦で水の上を漂い、やがて小さな陸地にたどり着き食料を得て生き延びた。
南米・・・マヤ神話
風と嵐の神フラカンは、木から生まれた最初の人類キチェ族が、神々を崇拝しなくなったため、大洪水を起こすことにした。洪水のあと、4人の男女が生き残り、 人類の祖となった。
朝鮮半島・・・朝鮮神話
むかし、月桂樹と妖精の間で木道令が生まれた。ある日、大洪水が起き、月桂樹は息子の木道令を助けるために、自分につかまるように言って漂流した。漂流のさなか、木道令は蟻と蚊、そして少年を助けた。やがて、月桂樹は島に到着したが、そこには老婆が二人の娘(一人は実の娘, 一人は養女)と一緒に住んでいた。少年の悪巧みで木道令は試練を経験するが、蟻と蚊の助けで試練を乗り越えて老婆の実の娘と結婚する。一方、少年は養女と結婚した。木道令は善人の先祖で、少年は悪人の先祖だと言う。
インド・・・ヒンドゥ教神話
ヴィシュヌ神の化身として魚の姿をしていたマツヤが人間マヌに、大洪水が来てすべての生物を流し去ってしまうだろうと警告した。そして、見返りにマヌに自分を保護してほしいと願いでた。 マヌはマツヤの世話をして海に放した。 そこでマツヤはマヌに船を作るように提案する。彼が船を作ると、洪水が起こり、世界にはマヌだけが生き残り、マヌが人類の祖先となった。
洪水神話の例⓶・・近親婚姻型
中央アフリカ・・・マンジャ族
中央アフリカのマンジャ族の神話に登場する英雄セトを主役とする。洪水は突然の災害と伝え、また、兄妹の近親結婚を部族の起源としている点に特徴があります。 兄妹が結婚し祖先となるパターンは中国南部から東南アジアにかけてよくみられる特徴。
至高神ガレによって大地が創造された後、一掴みの土と風で、最初の男女が創られた。次に杵を持たせ、地上へ遣わせた。ガレは男女をボゲルドゥ（杵の民）と呼んだ。彼らは多くの子を産んだ。だがある夜、大洪水が起こり、人類をほぼ絶滅させてしまう。セトという人物とその妹だけは穀物をつくり、竿に乗って助かった。妹は長ずるに及んで次第に色目を使いだし、セトの方も自身の性欲を抑えがたく、惹きつけられていくが、妹は神聖なもので、人はその姉妹と恋を語らうことはできない。どうしたら目的は達せられるか。その後、占い師の老女の助言を得て、目的は達せられ、息子、娘と交互に産んでいき、マンジャの世界が成立することになる。
洪水神話の例③・・洪水治水型
中国・・・中国神話
中国神話はいくつか洪水神話が存在しますが、夏王朝の 禹 （う）の洪水神話はとくに有名です。この場合、治水をして洪水を抑えたという点で他の洪水神話と異なっています。
帝尭（ぎょう）の時代、黄河で大洪水が起き鯀 （こん）に治水を当たらせていた。9年経っても治まらず治水に失敗したため処刑されることになった。次に白羽の矢が立ったのが 禹で、左手に測量縄を持ち、右手に定規を持って各地を巡り、十三年かけて治水に成功した。 そしてその功績により中国初の王朝夏（か）の王となった。
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真理の島 四国（愛媛、香川、徳島、高知）
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